子どもの歯列矯正と基礎知識

子どもの歯列矯正と基礎知識

子供の歯列矯正

子どもの歯並びの特徴

最初に子どもの歯が生えてくるのは、個人差はありますが生後6~7ヵ月頃で、下顎の中央に生えてきます。1歳4~5ヵ月頃には奥から2番目の歯が生え、食べ物を噛めるようになり、2歳6ヵ月頃に奥歯が生えて乳歯列の咬合が完成します。
乳歯列には隙間がある場合が多いのですが、異常というわけではありません。これは後から大人の歯が生えてくるためのスペースだからです。隙間があってもおかしくないのが子どもの歯並びの特徴です。
[参考文献:歯科矯正学(医歯薬出版株式会社)P41-43]

子どもも矯正治療が必要なの?

子どもの歯はいつか大人の歯に生え変わります。
それでも子供の歯列矯正は必要なの?と思うかもしれませんね。子供の歯列矯正は顎の骨の成長に関係してきます。顎の骨が成長期にある子どものうちに歯並びを矯正することで、噛み合わせを改善し物を上手に噛めるようにしたり、虫歯リスクを低くできる場合があります。 そうすると、大人の歯が生えてきたときに理想的な位置に生えてくることが期待できます。
いつか生えてくる大人の歯が理想的な歯並びで生えてくるために、子どものうちから歯列矯正をすることはとても大事なことで、将来のお口の健康のための予防的な役割があると一般的に言われています。 子どもの歯並びが気になるときは、早めに矯正歯科医に相談しましょう。

いつから始めればいいの?

子どもの歯列矯正は、『第1期治療』(混合歯列期に行なう治療)と『第2期治療』(永久歯列期に行なう治療)に分かれています。
第1期治療では、将来大人の歯がきれいに生えそろうように、顎を適切な成長へと導く治療を行ないます。
第2期治療では大人の歯の歯並びや噛み合わせを整える治療を行ないます。混合歯列期は顎がいちばん成長する時期です。大人の歯が生えてくるのにあわせて、歯並びが悪くなる場合が多いため、一般的にこの時期に第1期治療を始める子どもが多いとされています。
第1期治療終了後、歯並びや噛み合わせの状態によって、第2期治療へと移行するケースもあります。

子供の矯正装置

[参考文献:歯科矯正学(医歯薬出版株式会社)]

子どもの歯列矯正の基礎知識

子どもの歯並びが悪くなる原因は?

子どもの歯並びが悪くなる原因として、生まれつきのものや癖が影響しているものがあるといわれています。
生まれつきの原因として挙げられるものとして、生えてくる歯の本数が足りないケースがあります。
子どもの歯は全部で20本生えますが、1~2本少なく生えてくることがあります。歯の形成異常の1つで、病気ではありませんが、生まれつき歯が形成されていないことがあり、歯並びや噛み合わせなどを悪くしてしまう可能性があります。もし、お子様の歯が少ないようでしたら、早めに矯正専門の歯科医師に相談しましょう。

子どもの癖で歯並びが悪くなる?

子どもの癖によって、歯並びが悪くなる場合があります。
主に、指しゃぶり、舌突出癖(舌を前に出す癖)、頬杖、口呼吸などの口腔習癖(口に関する習慣行動)がある場合も、歯並びや顎の成長に影響を及ぼすことがあります。
お子様の日常生活のなかで無意識に行なっている習慣や癖を見直し、家族全員で協力しながら、癖を治せるようにしましょう。お子様を励ましたり、努力したりしていることを褒めてあげるとよいでしょう。

  • 指しゃぶりは、上顎前突(出っ歯)、開咬(奥歯を噛んだとき前歯が開いて噛み合わない)、交叉咬合(上顎の歯列の幅が狭くなり上下の奥歯がずれて噛み合わない)などの不正咬合を引き起こすことがあります。また、おしゃぶり、ガーゼや爪などを噛む癖も、歯並びや顎の成長に影響を及ぼす可能性があります。

  • 舌突出癖(ぜつとつしゅつへき)は、口を開けて舌を上下の前歯の間に挟んだり、歯の裏側を舌で押すなど、舌を前に出す癖です。この癖を続けていると、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、開咬(奥歯を噛んだとき前歯が開いて噛み合わない)などの不正咬合を引き起こすことがあります。

  • 頬杖をつく癖を続けていると、顎の成長に支障をきたす場合があります。
    また、顎にかかる圧力により、噛み合わせのずれを引き起こすこともあります。この癖は無意識で行なってしまうことが多いとされているので、早めに治せるよう協力してあげましょう。

  • 口呼吸は、長時間口を開けっ放しの状態になります。常に下顎と舌の位置が下がることになるため、顎の成長や口周りの筋力に影響を及ぼします。続けていると、顎の幅が狭くなったり、前歯が出やすくなります。 また、口の中を乾燥させることにつながり、細菌が繁殖しやすくなって虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。

治療にかかる期間

歯列矯正は、歯並びや顎の成長によって治療計画が異なります。第1期治療(混合歯列期に行なう治療)と第2期治療(永久歯列期に行なう治療)のいずれかを選択して治療を行なうため、治療期間が異なります。

  • 第1期治療の期間

    症状によりますが、第1期治療が終わるまでにかかる期間の目安は10ヵ月~1年半程度です。第1期治療終了後、第2期治療を始めるまで数年間経過観察することもあります。

  • 第2期治療の期間

    治療内容は成人矯正(大人の矯正治療)と同じで、第2期治療が終わるまでにかかる期間の目安は1年半~2年半程度です。