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ライフスタイルに好影響?"本質的な矯正治療"とは【後編】

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ライフスタイルに好影響?"本質的な矯正治療"とは【後編】

Catch

矯正治療が10代の子どもの生活に与える影響とは

前編では、京都の矯正歯科治療専門クリニック、ふじやま矯正歯科の藤山光治先生に、矯正歯科がライフスタイルに与える影響について語っていただきました。また、矯正治療を受けるうえでの心構えなど、本質的なお話も聞くことができました。前編の続きとなる後編では、10代の子どもが矯正治療を行った際のライフスタイルへの影響について、継続して藤山先生にご意見を伺っています。

特に成長に合わせて歯を動かしやすいと言われる10代の子どもの場合は、部活・受験・留学などの学生生活やイベントに注力したい時期でもあります。それゆえにライフスタイルに支障を来す可能性があれば、矯正治療を「避けたい」と考えても決して不思議ではありません。10代で矯正治療を行うことはライフスタイルに心配されるような影響を及ぼすことはあるのでしょうか。多くの親御さんが気になる疑問について尋ねました。

インタビュー協力歯科医師紹介

Fujiyama

歯学博士

【研修機関】
岡山大学歯学部矯正学講座
ワシントン大学矯正歯科
ハーバード大学矯正歯科

藤山 光治先生(ふじやま矯正歯科)

マウスピース矯正は部活・受験・留学中でも治療可能

■矯正治療は部活を言い訳にしない「自身の意識」が重要

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――前編に引き続き、ライフスタイルと矯正治療の関係についてインタビューさせていただきます。ただ、今回は対象を10代の子どもに限定したいと思います。矯正治療は特に10代のうちに始めるケースが多いと思いますが、スポーツや楽器、歌などの部活を行ううえでも影響や制限は出てくるのでしょうか?

藤山先生 部活に適した装置を選ぶことが重要ですね。スポーツの場合は接触競技を除けば、マウスピース矯正でもマルチブラケット矯正でもあまり変わらないと思います。しかし、吹奏楽部など楽器を演奏する部活の場合は装置選びが肝心です。特にサックス、クラリネットなど噛んだり、舌で音を切ったりする楽器は噛む力や舌の力によって歯並びが悪くなりやすい傾向にあります。そのため、マルチブラケット矯正だと思わぬ方向に歯が動いてしまうことも多いので、マウスピース矯正をおすすめしています。

――スポーツがあまり装置による違いが少ないのは意外でしたが、確かに力を入れて吹く楽器は歯並びにも影響を与えそうですね。ではサックスやクラリネットなどの楽器を演奏するうえで、マウスピース矯正で治療を行うことの主なメリットについて教えてください。

藤山先生 マウスピースを装着したまま演奏の練習をすることが可能です。最初は演奏に違和感を感じられるかもしれませんが、治療の進捗を妨げず、いい歯並びを目指すこともできます。また、矯正治療後もリテーナーを装着して演奏することにより、歯並びを維持することが出来ます。

ちなみに歌の場合、リンガルブラケット矯正だと舌が裏側の装置にひっかかって歌いづらい、表側のマルチブラケット矯正も歌えなくはありませんが唇にひっかかりやすい傾向にあります。楽器も歌もどの装置を選んでも慣れれば問題ありませんが、その慣れに2ヶ月くらいかかります。しかも矯正治療が終わって装置を外したらまた上手く演奏できなくなることもあります。装置をつけている時とそうでない時で音質がかわるので、それに慣れて自分で調整する必要はありますね。

――なるほど。楽器や歌の場合は装置に慣れることはパフォーマンスに関わりますね。ちなみに部活への影響を懸念して矯正治療を躊躇(ちゅうちょ)する患者さんはいましたか?

藤山先生 そうですね。私の患者さんでは部活に影響が出るからといって、矯正治療を躊躇う人はいませんね。反対にそうした部活を言い訳にしない真面目な患者さんが多い印象です。矯正治療は歯並びが良くなるかどうかは「自身の意識」が重要なので、部活をしていることが治療を行えない理由にはなりません。

■マウスピース矯正は受験や留学中でも計画的に治療がしやすい

――では受験を控えている学生さんの場合はいかがでしょうか?矯正治療を行ううえでは痛みによる集中力の低下など、不安が多いようにも思えます。

藤山先生 先ほども少し触れましたが、マウスピース矯正であれば装置交換のタイミングを調整できます。その分、治療期間は延びますが、受験生のお子さんでも矯正治療を行うことは可能です。現状の歯並びを維持するのであれば、夜寝る時だけ装置をつけるだけでも大丈夫であり、痛みがなければ装置をつけて治療を進めることもできます。なので、私はマウスピース矯正なら受験を気にせずに矯正治療を行えると患者さんには説明しています。

――なるほど。受験生であることが矯正治療を行えない理由にはならないのですね。では留学する場合はいかがでしょうか?

藤山先生 留学の場合、マルチブラケット矯正でも治療を行うことは可能ですが、海外で診てくれるドクターがいることが条件です。その場合は言語的にも最初は難しいでしょうし、費用的にも負担があるのであまりおすすめはできませんね。

マウスピース矯正であれば、夏や春の長期休みの際に帰国してすぐに装置を作り直すことができます。そもそもマウスピース矯正は急患や装置が外れるなど緊急対応が少ない点もメリットです。半年や1年の短期留学であれば、矯正治療中であることがそんなに大きな問題にはならないでしょう。

――細かい調整が必要な装置だと、どうしても海外に長期滞在する留学において不安は残りますよね。ちなみに長期間留学している人は歯並びの意識は変わるものでしょうか?

藤山先生 外国人は歯並びが整っている人が多いとよく言いわれています。オリンピック選手の方にお話をお伺いしたことですが、「世界大会などで会うたびに演技はパーフェクト、“歯並びがきれいなら、より完璧なのに”と毎回のように言われ続け矯正治療を受けることを決断した」ということもあるようです。これは留学中にも同じようなことを言われた人は多いのではないかと思います。

余談にはなりますが、この1年マスク生活が続いております。マスクを付けているので、口元は見えません。初めて出会う人はマスクを着けている状態ですので、口元はイメージするようになります。仲良くなると、食事を一緒にするなどの機会がでてきます。その時、初めてマスクを外しますので、第一印象が大きく変わってしまいます。マスクを外した時により素敵な第一印象になるために、矯正治療を開始する人も増えていますので、一度お考え下さい。

矯正治療の必要性がまだまだ認知されていない

■お子さんは小学4年生のタイミングで1度受診を

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――親御さんが子どもの歯並びに関してチェックすべきポイントはありますか?

藤山先生 ポイントというよりは、タイミングが重要です。小学生に上がった際に一度問題が無いか診てもらった方が良いと思います。そして、3~4年生くらいでもう一度診てもらうのが適切でしょう。4年生の際に奥歯に大きな子どもの歯(前歯から数えて5番目の一番奥の乳歯)が存在するかどうかで歯並びは大きく変わります。これは、乳歯の5番目の歯の大きさと永久歯の5番目の大きさを比較すると、乳歯の方が約1.5~3.0mm大きいということもあり、この隙間を利用して歯並びのガタガタの度合いを軽減させることもできるようになります。このため、歯を抜く治療か抜かない治療かのボーダーラインの人にとっては重要な歯ということになりますので、この時期に診てもらうことをおすすめします。歯を抜かない矯正治療をしようと思うのであれば、このタイミングが良いでしょう。

――実際にその年代で先生のところに来院される患者さんは多いですか?

藤山先生 そうですね。後は5~6年生になってから、「もう遅いですか?」と来院するケースも多いですね。周りの子が矯正治療を始めたことで気になる家庭が増えるのでしょう。中学生になってから来院すると歯を抜く確率は大人と同程度の確立ですので50%なります。歯を抜かずに矯正治療を受ける可能性を高めるためには、早めに矯正治療を行っている歯科医院に相談されることをお勧めいたします。

■親御さんが矯正治療で気になる点はズバリ金銭面

――親御さんが矯正治療を行う上でもっとも心配する点は何でしょうか?

藤山先生 矯正治療の期間について質問をうけることが多くあります。お子さんのお口の中の状況にもよりますが、基本的には乳歯が全て抜けた後から2年半~3年くらいが平均的な治療期間です。マウスピースを使用した矯正の場合、サボってしまうとそれ以上の期間がかかります。また、第二大臼歯(前から7番目の歯)の萌出は待つ必要がございますので、治療期間が延びる場合があります。期間は治療のゴール設定や治療するドクターによっても変わるので一概に言えないところはあります。

――確かに期間は気になりますね。ちなみ、決して安くはない費用がかかる矯正治療に踏み込む際に、何が親御さんの決断のポイントとなるでしょうか?

藤山先生 子どもの歯並びが気になって、「何もしなければ治らない」と思った時に矯正治療を開始するのだと思います。ただし、矯正治療は歯科医師の腕にかかわらず、どんな歯科医院でも100万円くらいの費用はかかります。矯正治療の費用は家、車の購入の次に人生で3番目に高額の買い物ではないでしょうか?

使っている装置は一緒だとしても、どの歯科医師でも同じ技術レベルではないのが現実です。だからこそ、これからお子さんの矯正治療を検討している親御さんには、真剣に歯科医院選びをすることをおすすめします。親御さんとお子さんの双方が信頼を置ける歯科医院を探してみてください。